- 作者: マット・リドレー,中村桂子,斉藤隆央
- 出版社/メーカー: 紀伊国屋書店
- 発売日: 2004/04/28
- メディア: 単行本
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タイトルは原著『Nature Via Nurture(生まれは育ちを通して)』の方がユーモアがあり、内容がわかりやすいと思います。
『人間や動物の知能、性格、行動は遺伝子(生まれ)と環境(育ち)のどちらの要因によって支配されているか』という論争は昔からあります。筆者はその問いに対して類人猿の異性の好みから、IQ、統合失調症などさまざまなトピックスから双方の立場を支持するための研究成果を取り上げています。
単純2元論に異を唱える筆者の意見には同意します。特に以下の2つの話はなるほどと思いました。
バーカーは、心臓病を、生涯にわたって蓄積された環境の影響によるものとは見なせないと言っている。「心臓病に子供時代の体格などが影響するかどうかは、発生初期の重要な段階の出来事によって決まるのである。これは、環境が発達の『スイッチ』を入れるという概念を具体的に表している。
本来、才能の遺伝的な差異は、ごくわずかなのだろう。
テニスやヴァイオリンが上手くなるためには、こつこつ練習を続けなければならない。こつこつ練習する欲求をもつ人は、わずかな素質と、練習の欲求をもっている人なのだ。
つまり、個性は素質を欲求で強化することによって生み出されたものである。
あまり専門用語は登場しませんですし、翻訳も難解なところがないので読みやすいです。