潜水服は蝶の夢を見る


雑誌の編集者で公私共に充実していたが脳血管発作により全身麻痺、ロックト・インシンドロームになったジャン=ドミニクという人物を描いた実話ベースのお話。
基本的に主人公の視点から世界が描かれているので、少し主人公の気持ちになれました。右目を塞ぐ手術のシーンは本当に怖かったです。
また最初から主人公の姿を見せずに徐々に断片を見せて、『自分を憐れむのをやめよう』と生きる決意をしたときに姿を始めて見せる演出はなかなかよかったです。
ただ全身麻痺でまばたきでしかコミュニケーションができないのは本当に本当につらいと思います。いくら命を粗末にするなと説教されても、生きようという意思がないと無理だと思います。その点で生きようと決意し、本を書き上げたジャン=ドミニクは凄いと思いました。
もちろんそのためには周囲のサポートが必要になります。特にドミニクの書記をつとめたクロードは立派だと思います。父親とひげ剃りをしながら本音で話し合う場面が印象的だったのですが、その父親と会えないとわかったときは見ている方も悲しくなりました。

日本映画やハリウッドのような感動を全面に押し出さずに抑えめの演出、脚本ともにかなりよかったです。
ドミニク役のマチュー・アマルリックの演技もすばらしかったです。