人間の運命

人間の運命 (角川文庫)

人間の運命 (角川文庫)


ソヴィエトの民衆をテーマにした短編集です。 戦争前後の時代設定ですので、決して明るいお話ではありませんが、人間の力強さが表れていると思いました。
『子持ちの男』と『他人の血』が印象に残りました。前者は7人の子供を守るために赤軍になった息子をやむを得ず殺める貧農ミキシャーラが主人公にしたお話ですが、ミキシャーラをただの悪者ではなく、弱い人間として苦悩を描いているのがよかったです。後者は今まで大事にしていた息子や穀物を軍やソヴィエト政府に奪われた老人が、アクシデントで大けがを負った穀物徴収者を自分のもの収奪するために来たのにも関わらず実の息子のように大事にする話で老人の優しさが印象に残りました。