フーコー入門

フーコー入門 (ちくま新書)

フーコー入門 (ちくま新書)

  • 作者:中山 元
  • 発売日: 1996/06/01
  • メディア: 新書

ミシェル・フーコーについては哲学関係の書物で何度か名前を見たことがあり「監獄」に関する考察をしていた程度の断片的な知識しかもっていませんでした。興味はあったのですが、いきなり哲学の専門書を読んでもちんぷんかんぷんだと思いましたので、新書の入門書を読んでみました。

哲学関係の入門書としてはわかりやすいと思いました。監獄に関する考察をまとめた章はおもしろかったです。

監獄に関する考察より

フーコーが指摘しているように、この装置は近代の資本主義社会の基本的なモデルとなった。この装置は、支配の対象となる者の身体の表面に注がれるまなざし(の可能性)によって、被支配者の精神と身体を拘束すること、そしてその道徳性を向上させ、生産性を改善することを目的とする。

権力が外部から抑圧する権力だけではなく、人々を内側から動かし、人々の主体そのものを作り上げていく機能を果たすことを指摘した。しかしこの分析は、人々の間に網の目のように存在する力関係の場そのものを取り上げるよりも、支配しやすいような<従順な身体>をもち、道徳的な主体として行動する市民を形成する<パノプティコン>という観点から権力を分析するものだった。

知識人の役割について

人々が、自分で考えているよりもはるかに自由なのだと教えること、人々が自明で真理だと信じているいくつかのテーマが、歴史の特定の時点に作り出されたものであり、このみかけの上での自明性は批判し、破壊することができるものだということを示すことです。人々の精神において何かを帰ること、それが知識人の役割です。