アルジャーノンに花束を

アルジャーノンに花束を (ダニエル・キイス文庫)

アルジャーノンに花束を (ダニエル・キイス文庫)


少し前にドラマ化されたので気になっていた本です。
幼児並の知識しかないチャーリー・ゴードンが手術によって天才になるが…、といった内容の小説です。アルジャーノンというネズミの退行現象が発現してからは本当に痛々しく、読んでいて辛かったです。最後の2行は本当に素晴らしいです。

内容もそうですが、翻訳を含めた文章表現もなかなか上手だと思いました。特に序盤と終盤(読みにくいですが…)に描かれていた知能の低い人間の視点から見た世界が実体験に基づくのではないかと思うくらいでした。


序文に書かれていた以下の筆者の言葉も印象に残りましたので引用します。

他人に対して思いやりをもつ能力がなければ、そんな知能など空しいものです。人間のこの特性を欠いているひとびとは、残忍な嘲笑と空威張りの仮面のかげに隠れるものです。