- 作者: 司馬遼太郎
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2010/02/10
- メディア: 文庫
- 購入: 1人 クリック: 6回
- この商品を含むブログ (5件) を見る
司馬遼太郎さんが自らの小説の舞台にした日本各地(土佐や会津など)を訪問して、歴史について考察した本です。前から欲しいなと思っていたのですが、最近新装版(文字が大きくなっている)が発行されたのを期に購入しました。
司馬さんの考察は鋭くて、面白かったです。
印象に残った話の一つに幕末に薩長が倒幕の主力勢力になった要因として、維新志士の存在や軍事力だけでなく、外国との貿易で獲得した経済力も無視できないというのがありました。言われてみると当然な気がしますが、幕末の話をそのような観点で考えたことがありませんでしたから、勉強になりました。
(江戸)幕府は農業の支配者でしかなかった。幕府はすでに経済思想という面で、まず思想的に薩長という雄藩に敗北していたというべきであり、薩長の側からいえば、関ヶ原の復讐は鳥羽伏見の戦いという軍事段階以前にこういう面からすすめていたというべきであった。
他に印象に残った話としてはわたしの出身の青森の県民性に関する考察です。あまり県民性の話は好きではないのですが、著者の話には納得できる面もありました。
津軽と南部の差異をもとめれば、津軽は質感として重く、南部は軽くないにしても、どこか吹っきれてあかるいということであろう。