坂の上の雲

先週までテレビドラマが放送されていましたね。まだ最後まで読み切っていませんが、6刊まで読んで思ったことを書きます。
秋山真之秋山好古正岡子規の三人が主人公とされていますが、決して彼らが中心に話が展開されているわけでなく、日露戦争前後の日本を描きたかったのかなと思いました。子規に至っては3刊で退場してしまいますから(思ったよりも退場するのが早くてびっくりしました)。
後半は戦争の描写が思ったよりも多いなと思いました。

歴史を客観的に描いたところは流石で、特に二〇三高地での筆者の考察は納得できました。

そういう射撃法や技術は、すでにこの当時の日本陸軍は十分にもっていた。それをやらず、おなじ失敗を3度くりかえし、千人の兵をむなしく消滅させてしまうというのはどういうことであろう。これは乃木の軍司令部や大迫の師団指令部だけの責任ではなく、日本陸軍の痼疾とでもいうべきものであった。戦略や戦術の型ができると、それをあたかも宗教者が教条をまもるように絶対の原理もしくは方法とし、反復してすこしもふしぎとしない。この痼疾は日本陸軍の消滅までつづいたが、あるいはこれは陸軍の痼疾というものではなく、民族性のふかい場所にひそんでいる何かがそうさせるのかもしれなかった。

日本兵の突撃主義についても、いかにも直線的で、戦いに必要な狡猾さがない。(略)たしかに旅順要塞へ乃木軍の攻撃法は、大きな戦術から小さな戦闘指揮にいたるまで硬直しきった精神でおこなわれているようであった。


テレビドラマ版は原作を忠実になぞっているわけではなさそうですが、テレビドラマのほうが家族や正岡家との絡みが多いように感じました。それから広瀬武夫少将が格好良ぎました。