六ヶ所再処理工場

「最悪」の核施設 六ヶ所再処理工場 (集英社新書)

「最悪」の核施設 六ヶ所再処理工場 (集英社新書)


事実を隠蔽する原子力行政と御用学者には辟易しているのですが、本書を読んで更に原子力行政に失望しました。
核燃料サイクル自体の妥当性については言及していません(破綻しているのは自明だから)。青森県六ヶ所村が再処理工場の立地として選ばれた経緯や、今後も運営し続けることのリスクを中心に書かれています。

  • 急性障害による被害見込み
    • 風がどちらの方向に吹いていようと、急性障害による死者は六ヶ所村以外に発生しない。
    • シミュレーションの被害者数は、5人(人口:約1万2千人)。

筆者も以下のように結論づけています。

再処理工場が人口密集地帯にあれば、急性障害による死者数が跳ね上がるのは言うまでもない。そしてこのことこそが、過疎の村に再処理工場が建てられた「真の理由」と言えるだろう。

  • 「活断層調査」や「安全審査」の問題点

六ヶ所再処理工場の耐震性に問題がないと判断した専門家に対するインタビュー依頼に対するリアクションには失望しました。

すいませんけど、取材に応じるつもりはないので。いろんなところから取材の電話が来ますけど、一切お答えしないことにしているんです。取材に答えたって、私のほうには何もいいことはないので

露骨に自分にやましい所があると認めているようにしか見えません。それとも一般庶民に説明しても理解できないと思っているのか、、わかりません。
むしろ自分の判断が科学的に正しいと言えるならば、マスコミに正々堂々と主張すべきだと思うのですが。。
筆者も『国の安全審査を預かる責任者の語る言葉とは思えない』といった趣旨のことを書かれていますが、全く同感です。

それから筆者が安全審査に対して疑問を呈するような意見を学会で発表した際に、後で一方的に非難された、といいます。そのような態度に対して、以下のように言っていますが、その通りだと思います。

活断層認定に関する真摯な議論を行わないまま、疑問や異論を一方的に非難し、排除しようと試みる行為は、もはや「科学」の名に値しないものである。いわんや、安全性の審査の場においては、絶対にあってはならないはずのものである。そして、こうした原子力事業者の姿勢こそが、日本各地の原子力施設で「想定外」の事態を次々と引き起こし続けている現実を忘れてはいけない。

挙げ句の果てには、活断層の調査員が、日本原燃や電力界社に対して、活断層の評価方法指導しているというのには閉口します。

  • 原子力基本法の変更(2012年6月20日)

原子力の利用目的の1つに『我が国の安全保障に資する』と明記されたことは知りませんでした。軍事目的で使うことを言っているようなものです。。核の被害を2度も受けた国が、軍事抑止力として核を利用しようというのには理解できません。