下町ロケット

下町ロケット (小学館文庫)

下町ロケット (小学館文庫)

半沢直樹シリーズで有名な池井戸潤さんの小説を初めて読みました。
500ページ近くある本ですが、はまると勢いよく読み進めることができました。それくらいエンターテインメント性が高くて、面白い本でした。

あらすじは、元々ロケット工学の研究者だった中小企業の社長が、さまざまなトラブルを乗り越えるという話です。主要取引先から突然取引を停止されたり、ライバルの大手企業から特許侵害で訴えられたり、大手重工業メーカーから特許の売却を打診されたり、会社がひっくり返りそうなトラブルを乗り越える様は痛快でした。
しかもライバル企業の人間が、完全に悪者として描かれているので、逆境を乗り越えたときは、なおさら痛快に感じました。

この話のうまいところは、フィクションと事実のバランスが絶妙だと思いました。大筋としては、フィクションなんですが(特許侵害の裁判で裁判官が比較的あっさり和解を打診したり、中小企業がバルブの特許をもっていたり、というのは現実ではありえないと思います)、事実に基づいた話を織り交ぜることで、いいバランスをとっているように感じました。
久しぶりに楽しいと思える小説に出会った気がします。