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道徳の系譜学

Book

道徳の系譜学 (光文社古典新訳文庫)

道徳の系譜学 (光文社古典新訳文庫)

ニーチェによって書かれた哲学書です。ニーチェが書いた本を一冊丸々読んだのは初めてだったと思います。「良心」や「禁欲」などについて書かれた3つの論文から構成されております。中山元さんの訳がわかりやすいこともあり、哲学書にしてはスムーズに読了できた気がします。もちろん簡単な内容ではありませんから、全部を理解したわけではありませんが。。

その中で印象に残った箇所を引用します。

忘れっぽさとは、浅薄な人々が考えているような、たんなる習慣の力ではない。これはむしろ能動的で、厳密な意味で積極的な抑止能力である。この能力のおかげで、私たちがこれまで体験し、経験し、自分のうちに取り入れたものが熟れるまでは、意識にのぼらないで済むのである。

わたしはここで「国家」という語を使ったが、それが何を意味しているかは自明のことだろうー金髪の肉食獣の群れであり、征服者かつ支配者である種族のことだ。彼らは戦闘団体を編成し、組織する力をそなえていた。そして数では圧倒するほどに多数だが、まだ未定形で、放浪する住民たちに、恐るべき前肢の爪を情け容赦なく突き立てたのである。このようにして、地上で「国家」というものが始まったのだ。国家が「契約」によって始まったなどという夢想は、すでに終わっているとわたしは思う。命令することができる者、本性からして「支配者」である者、仕事においても物腰においても暴力的な存在として現れる者ーこうした者にとって「契約」にどのような意味があるというのか!

すべての寡頭政治の下にはー人間の全体の歴史が教えてくれるようにー、つねに専制への欲望が潜んでいる。寡頭政治のもとでは、個々の政治家は専制への欲望を抑えるために緊張を強いられるのであり、あらゆる寡頭政治にはこの緊張のために絶えず震えているのだ。

特に政治に対する指摘が熾烈だなと感じました。それから文章が他の哲学者に比べて熱情的だなと思いました(訳のせいかもしれませんが)。