人はなぜ物語を求めるのか

文筆家の千野帽子さんによるエッセイです。人はなぜ物語を作ってしまうのか?について、さまざまな出展を引用しながら展開されており、私は興味深く読みました。

「自己」概念は、物語的に構成されている。そう気づいたのは、神経科学者(アントニオ・ダマシオやマイケル・S・ガザニガ)だけではありません。
「自分である」ということ(=アイデンティティ)は、時系列のなかで一貫性を持つものとして構成されているひとつの「仮定」である。この考えかたを、ドイツの哲学者トーマス・メッツィンガーとフランスの哲学者ポール・リクールとかが、それぞれ全く違ったアプローチで指摘しています。リクールはそれをはっきり<物語的アイデンティティ>と呼んでいるのである。

因果関係とは「観察者にとっての」因果関係なのです。(略)
因果関係をどう見つけるか、ということは、文化によって、文脈によって、発話のジャンルによって、異なることがあります。