国家と人生

国家と人生  寛容と多元主義が世界を変える (角川文庫)

国家と人生 寛容と多元主義が世界を変える (角川文庫)


元外交官の佐藤氏と政治評論家の竹村氏の対談をまとめた本です。対ロシア外交の舞台裏など初めて知ることが多くおもしろかったです。その一例を簡単に挙げます。

  • エリツィンはゴルバチョフに更迭されて以来、共産主義スターリン主義に対する恨みを晴らそうと狙っていた。そこに民主革命派、ソ連の水爆の父と言われた反体制派のサハロフ博士からの強力な支持を得て、権力の座に舞い戻ったこと。
  • ナチス・ドイツに追われたユダヤ人難民に日本通過ビザを発給した外交官杉原千畝さんの名誉回復は鈴木宗男氏の業績。
  • 日本語の弱点は母音の数が極端に少ないことで、母音の音の違いわからないと外国語は上達しないこと。
  • 沖縄戦ではペリーが測量した地図が役立ったこと。

最後に一番印象に残った佐藤氏の言葉を引用します。

余談になりますが、私は最近の社会情勢を見て、異分子を排除する精神が高まってきつつあるように感じます。これは危険です。また、自分たちの知恵だけで理想的な社会ができるという発想も危ないと思うのです。