- 作者: 隈研吾
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2008/11/20
- メディア: 新書
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建築家の隈研吾さんが過去に取り組んだ自然素材を使ったプロジェクトがいくつか紹介されています。
現場で時間、予算、法律などといった制約が課せられた中で、いかにして知恵を絞って自然の素材を使った建築を具現化しているのかというのが伝わりました。建築に詳しくなくても、あらゆるものづくりに共通していることだと感じましたので、おもしろかったです。建築に限らずものづくりに興味がある方なら楽しめるかなと思います。
どのプロジェクトの話もおもしろかったです。
栃木県那須町の石の美術館を職人と議論しながら仕事をした時のことを振り返った文章を以下に引用しますが、確かにホワイトボードとかの前で図を使いながらアイデアをお互いにぶつけたほうがいいアイデアが出るような気がしますね。
ちゃんとした図面を作ってから、「このディテールでできますか」とあらたまって聞くと、時間はかかるし、聞かれる方も構えてしまって、創造的な議論にはならない。顔と顔をつき合わせて、目の前のメモ用紙に、ちびた鉛筆で、お互いにスケッチを描き重ねるスタイルが、実は一番効率的なのである。
大手ゼネコンと仕事する上での苦労について語られていましたが、建築に限った話でないような気がしました。
「とりあえず」を繰り返してなんとか竣工に間に合わせ、竣工式のビールがさめる間もなく、できあがりをじっくり反省する間もなく、すでに次のプロジェクトが「とりあえず」はじまっているというのが、今日の建設の進め方の貧しすぎる風景である。
それから渋柿とお湯で溶いてドロドロしたコンニャクをぬることで和紙が強くなることを初めて知りました。しかもその技術が第2次世界大戦でアメリカの本土を攻撃した風船爆弾に活かされていたことも驚きでした。