最近のETV特集から

5/10放送分『ガザ なぜ悲劇は繰り返されるのか』

昨年末イスラエルの攻撃を受けたパレスチナのガザの状況を取り上げた回です。
国内のメディアではあまり取り上げられることが少ないニュースです。パレスチナの状況については比較的ニュースをチェックしていたつもりでしたが、この番組では整理されて説明されていて、背景などを今まで以上に深く知ることができてよかったです。

今回のガザ攻撃はハマス系の施設を叩くこと以上に、ガザのインフラの破壊という点が見逃せないと分析されていました。農場の破壊には白リン弾も使い、東部に集中していた工場の破壊が撤退の直前に行われたのはひどいと思いました。


今回の攻撃の伏線として2005年に始まったイスラエルのガザ撤退と壁建設はあると分析されていました。ガザ撤退時には撤退を拒否する入植者を軍隊の力も使っていたことから、和平が進むのかなと当時は期待しました。しかし、入植者を撤退させた後は、境界線や人の行き来をイスラエルがコントロールできるようになり、ガザ地区の封鎖が強化されたと分析されていました。その結果ヨルダン川西岸から分断、孤立したガザ地区の食料だけでなく、インフラ建設の資材も不足したらしいです。その上医療物資も大きく不足し、適切な治療を受けられずに亡くなってしまった患者の話を聞くといたたまれない気持ちになります。

エジプト国境近くと結んだトンネルは幾度となく攻撃されていますが、このトンネルは武器密輸のルートではないかと思っていましたが、封鎖されたガザへ生活物資補給するための生命線であることが背景を知ることで理解できました。『封鎖』という背景を知らなければ、ただの密輸ルートと疑う人は多いと思います。
封鎖されてから、数多くのパレスチナの労働者が職を失ったらしいですが、人間として尊厳を失ったのは一番深刻な問題だと思いました。生活に希望がもてない人たちほど、テロに加担しやすくなると思うからです。
国際社会はガザの復興支援については食料や物資を支給することで満足していますが、この構造的な問題を打破しない限り根本的な解決策にならないという結論には納得しました。


それからユダヤイスラエル人の大多数が今回の攻撃を支持しているらしいですが、彼らは『パレスチナ人=ハマスを支持する団体』と見なしているらしいです。パレスチナ人が西岸の90%近くを返還するというオスロ合意を拒否し、インディファータの開始した後から右傾化がかなり進んだらしいです。以前和平を支持していた層ほど、この傾向が顕著らしいです。
ただユダヤイスラエル人だけの問題だけではなく、グローバリゼージョンの影響もあると分析されていました。経済不況によりユダヤ系の下層市民が彼らの労働市場を奪う賃金の安いパレスチナ人を快く思わないのは仕方ないかなと思いました。その点でもパレスチナの中で雇用の機会を創出するのは大事だと思いました。

5/17放送分『危険学のススメ』

失敗学で有名な畑村洋太郎さんが立ち上げた事故の原因解析のプロジェクトを取り上げた回です。
エスカレータ事故の解析でよく使っている東京駅の横須賀線エスカレータが取り上げられていました。最近このエスカータの手すりに『○抗菌○手すりにつかまってください』といった内容のメッセージが書かれるようになったのですが、最初見たときはなんでだろうと疑問に思いましたが、番組を見て畑村さんが提案されたことだと知って納得しました。
たしかに過半数の人がエスカレータの手すりにつかまっていませんでした。登りであれ、下りであれ、急に止まった場合、力のバランスがなくなるため非常に危ないですから、今後は手すりになるべくつかまるように心がけたいです。