Into the Wild

イントゥ・ザ・ワイルド [DVD]

イントゥ・ザ・ワイルド [DVD]


ショーン・ペンが監督した作品でしたのであまり期待せずに見ましたが、予想に反してかなりよかったです。
大学を優秀な成績で卒業した優等生の若者のクリストファーがあらゆるものを捨てて放浪する話です。主人公が物質社会から逃げるために全財産を寄付して、お金や学歴、出世、法律、キリスト教、そして家族などあらゆる物、価値観を徹底的に否定する姿はすごいというか、実在する話とは思えませんでした。彼の価値観全てを肯定する気にはなりませんが、社会とか離れて旅したいと思った事は(実行した事はないですが)なくはなかったので、少しは共感をもって見る事はできました。もし世間からちょっと離れたいとか思っている人がいれば、見てほしいなと思いました。


両親に対する不審があったので、一時的に家族から離れたくなるのは仕方ないとは思いましたが、それでも旅先ですばらしい人たちと出会っていたのにも関わらず、他人と絆を築こうとせずに、何でも一人で背負い込んで自然と対峙したことが一番の不幸だと思いました。
そして彼が愛読していたトルストイも幸福の概念の一つに「隣人愛」や「人生の伴侶」、「子供への愛」などを挙げていたのに、それに見向きをしなかったのか残念でなりません。それでも死の直前に以下のように悟ったのが唯一の救いです。

幸福が現実となるのは誰かと分かち合った時だ


アラスカ、コロラドなどのアメリカの自然の映像も美しくしくて、音楽も良かったです。
悲しいお話でしたが、心に残る映画でした。