スティーブ・ジョブズ 驚異のイノベーション

1ヶ月ほど前に購入した本ですが、ようやく読むことができました。伝記ではなく、ジョブズの仕事に対する考え方が紹介されています。ジョブズの他にも偉大なアントレプレナーや企業トップなどの言葉が紹介されています。そのため『とにかくジョブズの考え方だけに触れたい』という人には物足りなく感じるかもしれません。
本書で紹介された考え方の全てが目新しい要素、というわけではありませんでしたが、とにかく考え方が超Positiveでやる気を喚起してくれました。

経済学者 タパン・ムンローの言葉

差別化に必要なのは、「自分が何をすれば、顧客は仕事が進めやすくなるだろうか」と自問することだとムンローは言う。「その答えがわかれば、それがイノベーションなのです。」

ジェームズ・ダイソンの言葉

長距離走の経験から、スピードを落としたいと思ったときこそ加速しなければならないのだと学びました。長距離走では、苦痛の壁と呼ばれるものを越える必要があります。研究開発のプロジェクトや起業でも同じことが言えるでしょう。失敗が目前に迫る過酷な瞬間があるのですが、そこでもう一歩、がんばれば、苦境を脱して高みへと上りはじめることができるのです。

イノベーションと顧客の声

アップルのイノベーションを支える秘密、大文字の I(私)によるイノベーションはユーザの声を聞くことから生まれるのではなく、人々が抱える問題に対し、まったく新しい考え方の解決手段を提示するという形で行われる。だから、アップルはフォーカスグループを使わないとジョブズは言うのだ。顧客の声を聞くなと言っているのではない。むしろ逆で、顧客にもっと近づけとジョブズは言っている。顧客がまだ気づいていないニーズを語れるほどに密着しろと。

シンプルを目指す

シンプルを目指す、ということはアップルの設計思想の重要な一要素だと感じていますが、その哲学が以下の言葉に集約されていると思いました。

何をしてきたかと同じくらい、何をしてこなかったかを誇りたい。

その点について、ニューヨークタイムズ紙のコンビュータコラムニストのディビッド・ポーク氏は以下のように分析されています。

まずおかしいのは、ソフトウェアアップグレードの法則との関係だ。これは、パーソナルコンピュータがこの世に登場して以来、ずっと君臨してきた法則で、「毎年新機能を追加しなければ誰もアップグレードせずに、お金がもうからない」というものだ。(略)不幸なことに、このやり方は長続きしない。そのうち、いろいろと詰め込まれてプログラムが複雑になり、まとまりをなくしてしまうものだ。これに対してスノーレパードが驚きであるのは、機能追加がポイントではない点だ。(略)スノーレパードの売りは、完璧な仕上がりを見せていたひとつ前のマックOS Xレパードに磨きをかけたことなのだ。