- 作者: ティム・オブライエン,Tim O'Brien,村上春樹
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1998/02
- メディア: 文庫
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著者の戦争体験に基づいた短編集です。
全てが凄惨な話ではありませんが、戦争の惨たらしさがところどころ感じられました。
表題作の中の著者のモノローグが心に残りましたので、引用します。
本当の戦争の話というのは全然教訓的ではない。それは人間の徳性を良い方向に導かないし、高めもしない。かくあるべしという行動規範を示唆したりしない。また人がそれまでやってきた行いをやめさせたりするようなこともない。もし教訓的に思える戦争の話があったら、それは信じないほうがいい。(略)そこにはまともなものなんてこれっぽっちも存在しないのだ。そこには徳性のかけらもない。
多くの場合、本当の戦争の話というのは信じてもらえっこない。すんなりと信じられるような話を聞いたら、眉に唾をつけたほうがいい。真実というのはそういうものなのだ。往々にして馬鹿みたいな話が真実であり、まともな話が嘘である。何故なら本当に信じがたいほどの狂気を信じさせるにはまともな話というものが必要であるからだ。
ある場合には君は本当の戦争の話を口にすることさえできない。それは時としてあらゆる言葉を超えたものであるからだ。