帰還の坑道

帰還の坑道

帰還の坑道

フォトジャーナリストの広河隆一さんが書いた小説です。20年前に出版された「破断層」に多少手を加えたもの、とのことです。
 
パレスチナ難民のための地下トンネルの設計を依頼された日本人エンジニアを主人公として、シリア、レバノンを舞台として、描かれております。
 
難民キャンプの様子、戦闘風景などは実際に現地に行ったことがある人間でなければ表現できないリアリティを感じました。
 
パレスチナで経験した難民たちの声を伝えたい、という思いがモチベーションだった、という筆者の言葉が掲載されていましたが、その気持ちが伝わりました。
と言いますのは、本業とは別業種の人間をモチーフにして小説を書くためのはとても大変だと思うからです(トンネル建設に関する話は素人から見て、おかしいと感じませんでした)。
 
お世辞にも読みやすいといえないかもしれませんが、パレスチナ難民達の生きた声を伝えようとする本は少ないと思いますから、詳しくない人にオススメしたいです。