Apple vs Google

アップルvs.グーグル: どちらが世界を支配するのか (新潮文庫)

アップルvs.グーグル: どちらが世界を支配するのか (新潮文庫)

タイトルと表紙の写真(ジョブズとシュミット)を見て、ジャケ買いした本です。
iPhoneリリース以降のiOS陣営とアンドロイド陣営の製品開発の舞台裏についてに迫った本です。筆者が雑誌の記者で、取材ソースがインタビューによるところが大きいからか、開発のことよりも人間関係に主観が置かれている印象を受けました。

個人的には初代のiPhoneの開発時の舞台裏が楽しく読めました。私もエンジニアの端くれですから以下のような状況でよく製品が開発できたなと驚嘆します。

OS Xのような巨大まプログラムを携帯電話のチップにのせた経験は誰にもなかった。ソフトウェアの容量を10分の1にしなければならないだけでなく、2005年当時、それを充分速く動かし、バッテリーをそこそこ長持ちさせるチップは作られていなかった。アップルのラップトップに搭載されているチップは、すぐに使えないとわかった。熱を発しすぎるし、携帯電話のバッテリーを数分で使い尽くしてしまうのだ。何百万行ものプログラムを削除し、書き換えなければならなかった。しかも実際のチップができたのは2006年だったので、エンジニアはそれまでチップの速さとバッテリーの減り具合を想定して作業を進めるしかなかった。

ジョブズのプレゼンの時も量産品はおろか、デモ品でさえ満足に動かない状況で、色々細工をしていたことは映画『スティーブ・ジョブズ』で見て知らないことはありませんでしたが、実際に行われていて驚きました。それくらいギリギリの状況で開発していたからこそ、あのような製品を他社よりも先行してリリースできたのかなと思います。それを見ると、iPhone5の時の、mapアプリの開発の杜撰さは残念に思います。スティーブ・ジョブズが生きていたら、あんなことは起きなかったんだろうなと改めて思いました。