GRIT

去年あたりに話題になった本だと思いますが、今更ながら読みました。
転職活動していた時にアドバイスいただいた言葉で印象に残ったものの一つに「仕事をやり抜く人は信用できる」という趣旨のものがありました。それもあり、タイトルを見た時に気になっていました。

筆者はグリッド(やり抜く力)が強い人が結果を出すと考えています。それは「情熱」と「粘り強さ」をあわせ持つ人だと定義しています。
その考えの裏付けとして、多数の実例が紹介されています。ヒアリングを多数行った点は感心します。

私は、USではGRIDのような能力を評価されにくいという偏見を持っていましたので、筆者の意見は意外に感じました。

ここからは印象に残った箇所の引用です。

ハミルトン・カレッジの社会学者ダニエル・F・チャンブリスの言葉

最高のパフォーマンスは、無数の小さなスキルや行動を積み重ねた結果として生み出される。それは本人が意識的に習得する数々のスキルや、試行錯誤する中で見出した方法などが、周到な訓練によって叩き込まれ、習慣となり、やがて一体化したものなのだ。それらを継続的に正しく積み重ねていくことで生じる相乗効果によって、卓越したレベルに到達できる。

筆者が考える「スキル」と「努力」の違い

努力をしなければ、たとえ才能があっても宝の持ち腐れ。
努力をしなければ、もっと上達するはずのスキルもそこで頭打ち。
努力によって初めて才能はスキルになり、努力によってスキルが生かされ、さまざまなものを生み出すことができる。

コックスが考える一般の人と偉人の相違点
  1. 遠くの目標を視野に入れて努力している。晩年への備えを怠らない。明確な目標に向かって努力している。
  2. いったん取り組んだことは気まぐれにやめない。気分転換に目新しさを求めて新しいものに飛びつかない。
  3. 意志力の強さ、粘り強さ。いったん目標を決めたら守り抜こうと心に誓っている。
  4. 障害にぶつかっても、あきらめずに取り組む。粘り強さ、根気強さ、辛抱強さ。
ジェフ・ベゾスプリンストン大学の卒業生に語った言葉

私からみなさんへのアドバイスは、自分がいちばん楽しいと思うことを見つけて、それを仕事にすることです。人生は短いのです。情熱に従って生きましょう。

エキスパートたちの練習法
  1. ある1点に的を絞って、ストレッチ目標(高めの目標)を設定する
  2. しっかりと集中して、努力を惜しまずに、ストレッチ目標の達成を目指す
  3. 改善すべき点がわかった後は、うまくできるまで何度も繰り返し練習する
子育てにおいてGRITを習得させるポイント

どちらの家庭も、子供の興味を第一に考えるという意味においては「子ども中心」だったと言えるが、「なにをすべきか」「どれくらい努力すべきか」「いつならやめてもよいか」など重要なことは、必ずしも子どもに判断を任せなかった。

「子どもの人生をよい方向に変えてやらなくては、なんて気負わなくていいんです。心から相手のことを思って、しっかりと見守って入れば、ちゃんとそれが伝わって、よい変化が起こります。その子の人生にいまなにが起きていているのか、理解しようと努めてください。そして一緒に乗り越えよう、と手を指し伸ベてください。それこそ僕が身をもって経験したことです。そのおかげで、すべてが変わったのです。

「やり抜く力」を自分自身で「内側から伸ばす」方法

具体的には、「興味を掘り下げる」「自分のスキルを上回る目標を設定してはそれをクリアする練習を習慣化する」「自分の取り組んでいることが、自分よりも大きな目的とつながっていることを意識する」「絶望的な状況でも希望を持つことを学ぶ」などの方法がある。