七つの会議

半沢直樹などでお馴染みの池井戸潤さんによる小説です。500ページ近くある文庫本ですが、あまりにも面白く一週間もかからずに読み切りました。
中堅電機メーカーを舞台に8つの章から構成されています。最初パワハラ事件が起こりますが、その裏に会社を揺るがす大事件が隠れているとは、想像できませんでした。同じ会社を舞台にしているとはいえ、スポットライトが当たる人物が異なるのですが、いたるところに伏線が貼られていて、それが後々解明してくると腑に落ちるというか、先が気になり、読むのが止まらなくなった感じです。

途中事件の核心に気づく者が現れるものの(それが曲者だから読者も微妙に応援したいようなしたくないような気持ちにさせるのが著者のうまいところです)、最後握りつぶされたりして、何度も隠蔽されてしまうのがもどがしいです。最後の最後で、事件の真相が解明したところは気持ち良かったです。そのあたりのテイストが半沢直樹に通ずるものがあるような気がします(ドラマ版しか見たことがないため、小説版の描写は知らないのです)。

登場人物の出自や家族像にも触れているので、より登場人物に共感したり、反感したりしました。
また主題のある部品の強度偽造に関しては実際のモチーフがあるかどうかはわかりませんが、最近の日本の製造業では、程度の差こそあれ、偽造しているところがあるというニュースをたまに聞きますが、その背景に企業の体質があったような話を聞くと、フィクションとは言い切れないような気さえします。

少し前にテレビで映画版が放映されたのをチラ見したのですが、香川照之及川光博片岡愛之助北大路欣也など半沢キャストが多数出演していたのが印象に残っていました。そのあたりの配役を想像しながら読むと、さらにすっと話が入ってきました。とくに北大路欣也さんはそのままのイメージでしたね。