問題発見力を鍛える

問題発見力を鍛える (講談社現代新書)

問題発見力を鍛える (講談社現代新書)

久々に本を読みました。在宅勤務になってから、意識的に読書の時間を取らないと読書しないものです。久々の読書でしたが、この本は個人的に読みやすいこともあり、サクサク読み進めることができました。

本屋さんでざっと目を通して、面白そうと思い、購入し他ものですが、良かったです。著者の細谷さんは『地頭力を鍛える』で有名な方のようです(この本は読んだことがありませんでした)。


本書の主題は冒頭で述べられているいかに集約されていると思います。

不確実性が高い時代には「与えられた問題を上手に解く」のではなく、問題が与えられたら「そもそもこれは解くべき問題なのか?」と疑ってかかり、「解くべき問題はこちらである」と逆提案する能力が重要です。

ですので、ルーティンワーカーはもちろん、与えられた問題解決に特化したエンジニアのような人ではなく、マーケティングやプレセールスの人はなるほどと読めるかと思います。前職ではプレセールスの端くれをやっており、上からこのようなことを言われていました。
それに引き換え現職のマーケティングは顧客の言いなりでカタログスペックを追求するだけでレベルが低いなと日々思っています。

問題発見力が重視される背景として、不確実性(Uncertainty)が増すことの他に以下を説いており、同意しました。

問題が明確に定義できて、膨大なデータが手に入る領域はAIに任せて、人間はさらにその上流の、まだ明示的に語られていない問題を自ら能動的に見つけていくことが重要になります。

問題発見の手始めとして「常識を疑うこと」だったり、「偏在」を見つけることなどを説いています。個人的には腑に落ちる内容でした。ただ一つ要望を言えば、具体例があった方がもっと説得力があるように感じました(シェアリングエコノミーの概論などを例としてあげていましたが)。


問題発見に関し、なるほどと思った箇所をいくつか引用します。

問題そのものへの疑問を呈して、改めて問題を定義しなおす、つまり「真の問題は何か?」を見つけていこうとする問題発見型の思考回路

上位目的を考えることで、仕事の依頼主(顧客や上司)にとっての「さらに重要な問題」を見つけることができる

問題発見とは、「未知の未知」の領域を常に意識した上でそれを「既知の未知」(=新たな問題)に変えていくことなので、そもそもの世界観が「未知の未知」であることがスタートポイント


自分は文句を言ってしまいがちな人間なのですが、やはり良くないことだと思っています。そのメンタルに対する心の持ちようについて説かれていて、実践したいなと思います。最後にその箇所を引用して、閉じます。

「文句をつける」という問題発見に対して「こうすればもっとよくなる」という問題発見は常にこのバイアスを意識して、「文句を言いたくなった時にそれをぐっと我慢してポジティブ側に変える」という思考の習慣を持つことで実現できます。