正社員が没落する


『反貧困』の湯浅さんと『ルポ貧困大国アメリカ』の堤さんの対談本です。
基本的に売り上げを狙ったような売れっ子作家の対談ものは買いたくないのですが、2人の専門分野が近いこと、雇用問題はタイムリーな話題でしたので読みました。
堤さんの本はよんだことがありませんでしたので、アメリカの状況を具体的に把握していませんでしたが、教師と医師の状況はびっくりしました。
メディアや政治との距離のとりかたはなるほどと思いました。

堤:メディアはこういう大変な問題が起きて、可哀そうな人たちが出て、こういう立派な人がいました、という形だけ取り上げて、本質的な問題まで掘り下げないまましばらくすると次の大事件に移ってしまう。そんなパターンに、やっと出てきたこの問題をあてはめることだけはしてほしくない。(略)
湯浅:運動側の工夫も重要です。どうせメディアなんて、と言ったら結局自分たちの活動も主張も伝わらず、社会も変わらない。日々のニュースを追いかける他ないメディアの特性を踏まえて、報道できるような見せ方の工夫をする必要がある。現場に出てくる記者たちは総じて良心的です。この問題をどうやったら記事にできるか、よく相談しています。政治家も基本的には同じでしょうね。どうせ政治家なんて、と言ってしまうと損をするのは自分たち。会ってくれる人たちにはとにかく会って話してみると、真剣に受け止めてくれる人もいるものです。問題はなかなか会ってくれないこと。忙しいから仕方のない面もあるのかもしれませんが、そこはやはり、もう少し市民の声に耳を傾ける姿勢がほしいと思いますね。