この世界の片隅に

少しは興味はあったのですが、口コミの評判が思いのほか良かったので、見に行きました。
大阪では、梅田のスカイビルに入居しているシネ・リーブル梅田という、いわゆるミニシアターで上映されていました。こじんまりとした劇場ですが、この規模の作品を見るのにはちょうどよいサイズ感だと思います。ただ椅子の座り心地がそれほど良くなかったので、2時間座りっぱなしは少し辛かったです。ただ、最近のミニシアターは便利になっていて、劇場でも家でも座席の指定ができるようになっていて、驚きました。TOHOシネマズのような大規模なところだと当たり前のサービスですが、ミニシアターは発券順に入場という非常にアナログな入場方式という感覚だったものですから。。
水曜日のレイトショーでしたが、観客はそれほど多くなく(30人程度?)ゆったり鑑賞できました。
2017年3月時点で観客動員数が20万を越えたようで、反響の大きさに驚きました。しかも最初はミニシアターだけの上映だったので尚更です。たしかに、丁寧に作られた作品で、より多くの方にみてもらいたいと感じましたが、こんなに人気が出るとは思いませんでした。

ここから先はネタバレ含みます。


まず、既にいろんな方が述べられていることですが、主人公すずを演じられた能年玲奈(敢えて本名を使います)さんの演技がすごくよかったです。周りは声優さんばかりでしたが、その中で浮かないどころか、役に本当にマッチしていました。当初は話題性をねらったのかなと疑った見方もしてましたが、どんでもなかったです。監督のキャスティングが見事だと思います。


特に前半は反戦映画というよりかは昭和の戦時下という時代の中で力強く生きた女性(主人公のすず)を描いた作品だと思いました。
食事や町並みのシーンなんかは当時の雰囲気を感じましたし。空襲が酷かった呉を舞台にしていることもあり、年代が経つにつれ、戦争の匂いが濃くなります。貧しい食生活や憲兵のシーンもネガティブさが強調されずに、コミカルさもあったので、普通に見ることができました。

そんなトーンで終戦まで迎えると思ったのですが。。。中盤で不発弾に当たり、姪っ子と右腕を失ってからは話のトーンがガラッと変わります。あのシーンはアートチックな演出でショッキングでした。

すずさんにとって、右手は利き手という意味以上に好きな絵を描く意味があったので、生きる意味を失っていて、見ていて辛かったです。
しかも1945年の7月末に主人公が空爆に耐えかねて、故郷の広島に帰ると言い出したときは「えーー」と思いました。これ以上不幸になったら、何の救いもなくなると感じましたから。
結果的には広島に発つ前に原爆が投下されて、すずさん自身は原爆の被害は受けなかったとはいえ、家族が被曝した姿はいたたまれない気持ちになりました。直接的な被害がなかったので、なおさらそう感じました。
ただそんな中、旦那さん(そして家族も含めて)がそんなすずさんを受け入れると言った時は本当に格好いいなと思いました。


戦闘機の爆撃シーンは音響(他のシーンよりも唐突に音量が大きめになったり)や映像(CGが露骨でちょっとゲンナリ)で少し引っかかりましたが、仕方がないかなと思って割り切ってみました。
音響とかグラフィックを考えるとわざわざ劇場で見る必要は低いですが、丁寧に作られて作品ですので、じっくり見て欲しい作品だと思います(ながら作業しながら、片手間に見るような類のものではないかなと)。

(updated on 15/Mar/2017)