楽園のカンヴァス

原田マハさんの小説です。400ページを超える小説ですが、面白かったです。
MoMAに所蔵されているルソーの「夢」に酷似した作品の真贋判定をめぐりMoMAのキュレーターと日本人研究者が挑む、というストーリーです。二人が読む物語という形でルソーとピカソなどとの交流が展開されます。

筆者がキュレーター経験者ということで美術館の監視員や美術展の裏事情などは未経験者には描けない描写で興味深く読むことができました。
序盤は登場人物の行動に不思議な点があるなど少々退屈でしたが、主人公にMoMAのチーフキュレーターからの伝言が届き、過去に戻ってからは面白くなりました。そして終盤の真贋判定のくだりはスリリングな展開で続きが気になり、読むスピードも上がりました。一読すると序盤の主人公やその子供の行動の背景が理解でき、よく練られて作られていると思います。マハさんの小説を久しぶりに読みましたが、自分の好みに合うのか引き込まれました。

美術作品をモチーフとした良質なエンターテインメント作品で楽しめました。