脳はなにかと言い訳する

脳はなにかと言い訳する―人は幸せになるようにできていた!? (新潮文庫)

脳はなにかと言い訳する―人は幸せになるようにできていた!? (新潮文庫)


脳科学者池谷さんによるエッセーです。『VISA』誌に掲載されたエッセイ(3ページ程度)+語り書きの構成のため、さくさく読み進めることができました。本書は池谷さんの本は説明がわかりやすく、最近の脳研究の研究成果が引用されているので読んでいて楽しいです。
特に面白いと思ったものをいくつか引用します。

  • 作業興奮について

モチーベーションを維持する方法の一つは、体を実際に動かしてみることです。やる気がなくてもまず始めてみる。年賀状を書く気になれなくても、まずは机に座って書き始めてみる。そうすることで、脳がじだいに活性化し、やる気が出て、のめり込んでいくことがあります。これを「作業興奮」といいます。

ものすごい憂鬱な仕事でもとりあえずとりかかれば、何とか集中できる経験があったりするので、筆者の言っていることはよく実感できます。

  • ストレスの克服、解消について

「馴れ=記憶」なのです。馴れは、ストレッサーを感知しなくなること。つまり、感受性を修復し、それを記憶することが、いわゆるストレスの克服なのです。(略)
このように、ストレスに打ち克つ脳は、生まれつきストレスに強かったというより、むしろステップによって育まれたものなのでしょう。

重要なことは、ストレスを解消するかどうかではなく、解消する方法を持っていると思っているかどうかです。そして、それ以上に重要なことは、「別にストレスを感じていてもいいんだ」と考えることだと思います。ストレスをあまりに怖がりすぎると、実際にストレスを受けたときに、必要以上に反応してしまうはずです。それよりも、「ストレスはどうせ避けられないものであって、ストレスを受けても、私はいつでも解消できるのだ」と信じていることが肝心なのです。

ストレスを避けることはできないことを自覚して過度に怖がらない、という姿勢は今まで考えたことがありませんでした。そういう態度が貫けたら強くなれそうな気がします。

  • 睡眠と記憶について

最近の脳研究によれば、寝ているときには、脳内で、身の回りに生じた出来事が再現されているという。夢はまさにそうした記憶の脳内再生の例であろう。睡眠中に保管すべき情報を整えているのだ。むろん、情報の再生は昼間でも行われているのだが、外部情報がシャットアウトされた「睡眠」という状態は、情報の整理に集中できる格好の時間帯である。

ウォーカー博士は記憶が干渉されているときは、最後に覚えた情報だけが睡眠中に強化されることを発見した。つまり、より最近の記憶が選択されて強化されるのであって、すべての情報が強められるわけではないということだ。博士は論文中で、さらに重要な事実について触れている。類似したものを暗記する場合でも、間隔をおけば干渉が生じないというのだ。似た情報でも、学習する時間帯が6時間以上離れていれば、睡眠はこれに均等に強化してくれる。
学習感覚を十分にとれば、紛らわしい情報でも正確に覚えられる。似た情報を脳に送るときは、頭が混乱しないように間隔を十分にあけて習得する――学習スケジュールを立てる際には、ぜひこの研究結果を活用したいところ。そして十分な睡眠をとる。

睡眠というのは体力の回復だけでなく、記憶の強化、定着にとって重要なことを再認識しました。どんなに忙しくても睡眠時間を確保するように心がけたいです。また試験等で暗記する時は上記の技を活用できるように学習できればと思います。