ブリーダーズカップ(2021年)

今年は西海岸のデルマー競馬場で開催されました。日本産馬が初めて勝ちました。

フィリー&メアターフ

このレースはターフの牝馬限定戦で、距離は日本のエリザベス女王杯と同じく2,200mのレースです。
一昨年のオークス馬のラヴズオンリユーが参戦しました。実績的には上位の存在で、道中は先段につけており、勝てるかなと思っていました。ところが直線入り口で前が壁になり、しかも小回りで直線が短いことから万事休すかと思いました。そんな状況から狭い馬群を縫って突き抜け、1着になりました。
2着との着差は半馬身差でしたが、狭い馬群を突き抜けた馬と鞍上(川田騎手)は立派だったと思います。
アメリカの芝のレベルは落ちるもののラヴなど欧州勢も参戦しており、環境が異なる海外で勝ったことは価値があると思います。

ディスタフ

こちらはダート1,800mのレースで、昨年と今年のケンタッキーオークス馬をはじめアメリカのダート戦線で戦ってきた牝馬が出走しました。
ラヴズオンリユーと帯同馬として遠征に同行したマルシュロレーヌが参戦しました。日本のダート牝馬限定戦(ブリーダーズGCエンプレス杯など)では安定した強さを誇っていたものの、帝王賞など牡馬混合戦では勝てなかったため、難しいだろうなと思っていました。
レースは前半はハイペースで進み(前半800m=44秒台)、マルシュロレーヌは後方を追走していました。驚いたのが3コーナー手前から進出し、先段に追いつき、4コーナーで先頭に立ったことです。そこから他の馬たちの追撃をなんとか凌ぎ切り、なんと1着でゴールインしました。
アメリカのBCダートレースで勝つのは凱旋門賞を勝つより難しいことだと思っていましたので、本当に驚きました。海外競馬評論家の合田さんは「事件だ」とおっしゃっていたそうですが、その通りですし、快挙だと思います。レース展開の利はあったでしょうが、それでも4コーナー先頭から凌ぎ切った内容は非常に立派です。

今回勝利した2頭の調教師は矢作先生ですが、本当に素晴らしい調教師だと思います。出走馬を選ぶ相馬眼が立派なのはもちろん、「勝てるなら西海岸開催の時」という戦略を持って臨んだのは勝負師だなと惚れ惚れしました。確かに日本馬の移動時間が短くなりますし、特に芝レースの強敵となるヨーロッパ勢の移動距離が伸びることからもその通りだなと思います。