お金の減らし方

この本は、私の好きな某YouTuberの方が紹介して頂いたことがきっかけで読んでみました。著者のことは好きな方ですが、紹介されるまで本書の事は存じ上げていませんでした。
作家の森博嗣さんによるお金の使い方(著者は減らし方と言っている)に関する考え方が、著者の体験を交えながら書かれています。いつもどおりのトーンで書かれていますので、やはり読み手を選ぶと思います。
彼の考え方には同意できる点が多いですし、彼のお金にまつわる話を知ることができ、面白かったです。

投資など増やすための方策は行っていない(作家としての稼ぐ力がバグっており、その必要がない)点はあまり参考にはなりませんが、ローンを含めた借金だけは避けるという考え方は参考になると思います。

本書の主張は以下に集約されます。

お金は、自分の欲しいものに使う。必要なものよりも、欲しいものを優先しなさい、というのが本書の主な内容だが、それはつまり、自分にとって価値のあるものを得るために使う、ということであり、結局は、それが自分の価値を見つける方法だ、と僕は考えている。

ものの価値は購買行為自体ではなく、その後使い倒すことに価値があると説いていますが、納得できました。
世間的に必要だから、見栄のためにお金を使うことが少なからずあると思いますが、それが多いとたしかにお金が貯まらない体質になると思います。著者の考え方は極端すぎるきらいはありますが、自分の収入に見合った消費行動をとるのがお金をためるためには必要なのは同意です。

著者は以前大学教授と作家という2足のわらじ状態で働いていましたが、そのバイタリティについて以下のように述べています。他のエッセイ等でも述べられている内容だと思われますが、最後にそこを紹介して閉じたいと思います。

今の僕は、自分の好きなことをしている。(略)どうして、こんな生活ができるのか。
時間とお金があったからではない。その両方ともなかったけれど、どうしてもそれがしたかったので、考えて、計画し、実行しただけである。時間とお金というのは、やりたいことをするための手段であり、そのためにエネルギィを使って、その両者をまず手に入れた。そのため、目的であった好きなことができるようになった、ということである。けっして逆の順番ではない。