ジョージ・オーウェルによって描かれたディストピア小説です。本書を取り上げられるのを何度か聞いたことがあり、前から気になっていた小説でした。500ページを超えるボリュームですが、この療養期間に一気に読みました。
この小説の世界観として共産主義の監視社会をモチーフと言われています。冒頭の以下のような描写からは監視社会ではあるものの、共産主義に限った話には見えませんでした。
- 節約キャンペーンの一環でマンションのエレベーターが使えないこと
- テレスクリーンの音量を消せず(放映内容は当局に管理されている)、かつテレビに映る姿が当局に監視されていること
節約キャンペーンなんて、身の回りに起こっていることで、そんな世界観を第二世界大戦後間もない時期に描かれたことに驚きました。
また当局の歴史に対する姿勢なんかも恐ろしいなと思いました。
- 党が歴史を改変しながらも民衆には「過去はこれまで変更されたことはない」ということ
こちらは歴史に限らず、マスコミの報道に対する姿勢に通ずるものを感じました。
監視社会の描写が細かく、一気に読んでしまいました。話の展開がドラマチックというか主人公が体制を打破するようなスカッとした展開ではないのですが、逆にそれがリアルさを表現しているように感じました。
また時間がある時に改めて読みたいなと思います。